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そう言って左藤君が隣の部屋に続く扉を指します。
同時に、
「きいええええェェェェッッ。もう三日も教授の筋肉を見ていないでござるッ。限界でござるッ。超カッコ良い美少年でも、何か事件の相談に来きてくれると、もう堪らんのでござるがッ」
資料室から、猛獣の咆哮にも似た心の叫びが飛んできました。
「あの人かい?」
「ええ。あの人が忍さんですね」
もうすっかり慣れてしまっている左藤君はサラリと言いましたが、
「……ズバリ、怪異だね……」
まぁ、免疫のない人はこうなりますね。
「ええ。とっても怪異ですよ。ちなみに、男にも女にも恋愛感情を抱ける無差別論者の極みでもあるんで、まぁ、漣也さんなら優しく接してもらえるんじゃないかと……」
左藤君が純粋な目をして助手の忍さんを推しますが、完全に会話が噛みあってません。
「……遠慮しとく……」
漣也さんは全く感情の籠っていない目で応じていました。
「今日は帰る。邪魔したね」
そう言って漣也さんは踵を返そうとしていました。
真剣な顔が少しだけ怒っているように見えます。
ふざけた対応が気に触ったのでしょうか。
……それとも……?
「漣也さん」
ふと、私は漣也さんを呼び止めます。
「ん?」
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