2、山田水無瀬の事件簿

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 そう言って左藤君が隣の部屋に続く扉を指します。  同時に、 「きいええええェェェェッッ。もう三日も教授の筋肉を見ていないでござるッ。限界でござるッ。超カッコ良い美少年でも、何か事件の相談に来きてくれると、もう堪らんのでござるがッ」  資料室から、猛獣の咆哮にも似た心の叫びが飛んできました。 「あの人かい?」 「ええ。あの人が忍さんですね」  もうすっかり慣れてしまっている左藤君はサラリと言いましたが、 「……ズバリ、怪異だね……」  まぁ、免疫のない人はこうなりますね。 「ええ。とっても怪異ですよ。ちなみに、男にも女にも恋愛感情を抱ける無差別論者の極みでもあるんで、まぁ、漣也さんなら優しく接してもらえるんじゃないかと……」  左藤君が純粋な目をして助手の忍さんを推しますが、完全に会話が噛みあってません。 「……遠慮しとく……」  漣也さんは全く感情の籠っていない目で応じていました。 「今日は帰る。邪魔したね」  そう言って漣也さんは踵を返そうとしていました。  真剣な顔が少しだけ怒っているように見えます。  ふざけた対応が気に触ったのでしょうか。  ……それとも……? 「漣也さん」  ふと、私は漣也さんを呼び止めます。 「ん?」     
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