2、山田水無瀬の事件簿

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 私の虫けらを見るような視線は完璧だったはずなのにッ。  むしろ私が憐れまれてしまいました。 「お腹は至って正常ですよッ。そうじゃありません。大変な事件が起こったんですよッ」 「事件? 何? 教えてくれよ?」 「え? 面倒臭いので、厭です」 「……ああ、……じゃあ、お元気で……」  完全に帰ろうとする左藤君。 「って、ちょっと待ったですよッ。引き際、潔すぎですッ。もっと喰い付いてくれないとッ。何だか、私が可哀想な子、みたいじゃないですかッ。……可哀想な子ッ。……はッ、つまり悲劇のヒロインな私?」 「違うッ」  ああ。心地いいツッコミでした。  この見事なツッコミが、何の取り柄もない左藤君の唯一の特技なのです。 「……水無瀬、今、心で何かすごい失礼なこと思わなかった?」 「左藤君。人間の心はどこまでも自由なのですよ」  私、ニッコリ笑います。  美少女スマイルです。 「……そのせいで、今、僕の心が不自由だよ……」  左藤君が悲しそうに笑っていました。 「で? 事件ってのは?」  談話室の椅子に腰かけて、左藤君は言いました。  仕方ありませんと、私は咳払いを1つ。  三度目の正直という諺がありますが、三度聞かれては答えぬワケにはいきません。     
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