第1章

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第1章

 ぼくには、お父さんと、お母さんが、いません。  そんな書き出しで始まったのは、小学2年生の弟の作文だ。今日は授業参観。テーマは、『家族のこと』について。  お父さんとお母さんは、いわゆる”デキちゃった結婚”というものらしい。  二人は大学のサークルというもので知り合い、お母さんが後輩でお父さんが先輩だった。そして、例のごとく箱入り娘だったお母さんは、イケイケだったお父さんに誘われて付き合いだしたそうな。その後、ご多聞に漏れず、大学在学中にお母さんは私を妊娠し、そのまま結婚してしまったようだ。お爺ちゃんとお婆ちゃんは反対していたというのを、お母さんの友達から聞いた。  そんな勢いだけで出来上がった生活は、すぐに破綻した。  私が、言葉を話し始めて少し経った頃の話だ。  私がお母さんと一緒に寝ていた時間。そんな遅い時間にお父さんが、帰って来た。その音で、私とお母さんは目を覚ました。最も私は、次の日も学校があったから、早く寝ようとした。しかし、お母さんが玄関に行って、少ししてお父さんの怒鳴り声が家中に響いた。  私は、何かあったのかと思い、部屋の戸を少し開けて、玄関の方を見た。     
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