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その日の夜。帰りが遅いお母さんを心配しつつ、留守番をしていると、家に一本の電話が掛かって来た。それは、お母さんが交通事故で亡くなったという知らせだった。
そのころのことは、あまり覚えていない。確か、お母さんの友達とか親戚とかいろんな人に声を掛けられていた。大変だったね、とか。何かあったら家に来ていいんだよ、とか。みんな同じようなことばっかり。そして、二言目には、やっぱりこうなった、と。みんな同じことばっかり。お父さんの悪口ばっかり。だから、私はダメだと言ったのに、とか。あいつが殺したも同然だ、とか。終いには、この子はあたしの家で育てる、なんてことを知らないおばさんに言われる始末だった。
この期間、私はお爺ちゃんとお婆ちゃんの家に泊まっていたからか、お父さんを一度も見なかったということだけは鮮明に覚えている。
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