僕を助けて

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その喫茶店が混雑していたのは、後にも先にもその一回ぐらいだった。 その日、僕はいつものようにバイトの帰りにその喫茶店によって、コーヒーを頼んだ。 僕は、正直コーヒーがあんまり好きではない。 市販のコーヒーは、一杯飲むだけでも吐きそうになる。 でも、この店のコーヒーは不思議と飲みやすく、バイト終わりの疲れを癒してくれるのだ。 喫茶店はどんどん混み始め、気がついた時には満席になっていた。 珍しいこともあるものだ、普段は混んでいても席の9割5部は空いていて本当に経営が成り立っているのか心配なぐらいだったのに。 などと思いながら、僕がコーヒーを飲んでいると、 「すみません、ただいま当店大変混み合っておりますので、相席をお願いしてよろしいでしょうか?」 店員さんが声をかけてきた。 「もちろんです。」 僕が承諾すると、店員さんの後ろから僕と同じ高校の制服を着た男女の二人連れがやって来た。 「「失礼します。」」 二人連れは気まずそうに座った。どうも二人は恋人同士のようだ。 お邪魔かと思った僕はコーヒーを急いで飲みほすと、店を出た。 * 「?」 いつの間にか、僕はまた喫茶店の席に座っていて、机の上にはコーヒーが乗っていた。 ただ、さっきと違って、人がほとんどいない、僕と相席していたカップルもいない。 机の上を見るとメモが一枚乗っている。 ”僕を助けて” ・・・全く意味がわからない。僕はとりあえずそのメモをポケットに入れた。
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