小説を書くということ

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 僕が小説を書くようになったのは高校生になってからだった。そもそも、小説を読むようになったのも高校生になってから。それ以前は夏休みの宿題として出る読書感想文の為に嫌々読んでいたぐらい。それが今じゃ月に10冊は読んでいるんだから、人間変わるものだななんて、我ながら思う。  小説を書くことは必ずしも僕にとって楽しいだけではない。自分自身の言葉のセンス、語彙力のなさにいつだって失望するし、物語がいつも一辺倒で終わってしまうこと、登場人物たちの設定が弱く生かし切れていなかったり、上げていったら切りがない。そうして、自分には才能がないってことに幾度となく気づかされて勝手に傷ついてる。  まるでリストカットしているみたいだ。  でも、それでも、僕は小説を書き続ける。止められないのだ。どれだけ自分の才能のなさに気付かされたって、人から読まれなくたって、傷だらけになったって。  書かずにいられない。  きっとこれは病気なんだ。小説病なんていう病気。治療法も見つかっていないどうしようもない病気。  きっとここにはそんな僕と同じような、もしかしたら僕よりももっと重度の小説病にかかっている人たちが大勢いるって思ってる。  彼らは皆同じ仲間だと思うし、同時にライバルだとも思う。  なんてことを頭で考えながら僕は今日も言葉を綴る。才能のない頭を最大限に活用して、声にならない叫び声を上げながら。ただ淡々とキーボードを押していく。
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