これからについて

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これからについて

 大学を出て、社会人として働くようになって2年が過ぎた。この2年間は本当にあっという間だった。ビジネスマナーや業務を覚えたり、資格を取得したりで一瞬のうちに時間が過ぎてゆく。大好きな本を読む時間も小説を書く時間も全くとれず、休みの日は遊びに行く気力すらわかず、家で寝て終わってしまう。正直言って今まで生きてきた中で一番きつい時間だったのかもしれない。でも、そのおかげで、今さらながら、こんな生活をずっと続けている社会人の諸先輩を尊敬できるようになった。どんな仕事にだって、辛いこと大変なことが存在する。それらにめげず何十と仕事を続け、ぎゅうぎゅう詰めの電車に毎日乗る彼らは凄いのだ。実際はよれたスーツ姿だけど、彼らは日本という国を支えているヒーローなんだ。  ただ、そんな生活をしているうちに、僕の中にもやもやとしたものが溜まっていく感覚が日に日に募っていた。  このままでいいのだろうか?  これが僕の本当にやりたいことなんだろうか?  そんな考えが毎日のように頭に浮かんでくる。結局、僕は悩んだ末2年丁度で仕事を辞めた。僕は彼らのようなヒーローにはなれなかった。  きっとそのまま辞めずにいた方が安定した生活を送れていたのかもしれない。でも、不思議なことに後悔はないし、僕の中のもやもやもなくなっていた。  一度きりの人生、悔いの無いように生きる。使い古された言葉。しかし、その通りだと思う。妥協した仕事を続けてそこそこの生活を送るより、たとえ地獄を観ることになったとしても、冒険をしてみたい。そう思ったのだ。  やりたいことを仕事にして、そして小説家にもなる。なんて甘い考えだろう。僕もそう思う。周りから笑いものにされることがこれからきっとあるだろう。今よりも苦しく辛いことも多々あるだろう。  でも、それがどうした。周りの目を気にして生きるのはもうやめよう。不器用な生き方だと思うけど。上手くいっても、いかなくても、数十年後、笑って今を振り返れるように、懸命に生きてやる。 
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