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「最高だ……」  画面に食い入った。  興味を抱いたのは、思春期の頃だ。 交友関係、一人での時間の過ごし方、人の生活空間が兎角気になった。 メールや電話で報告しあったところで、真偽は問えない。 根掘り葉掘り探ると、怖いと距離を置かれた。  俺の好奇心を知ってか知らずか、高校の先輩が数枚のDVDを貸してくれた。 所謂、セクシー系からキュート系女優が詰められた悦楽のDVDだ。心に矢を放つ作品は、一枚だけ混入していた。 『覗いたさきは、あなただけのもの』  タイトルだけで胸が躍った。 閉鎖的な場所で繰り広げられる男女模様。興奮は抑えきれず、ダビングしてまで視聴した。  この頃からだろう。覗きというものに対して、興奮していると認識したのは。  夢のようだ。 絶対に叶わないと思っていた願望と欲望にまみれた世界が、眼前いっぱいに広がっている。 ブログをこそこそ覗き見していたのとは雲泥の差、月とスッポンほどにレベルが違う。 例えるなら、そうだ。 女子更衣室のロッカーで声を殺して忍び込み、誰にも気づかれず潜伏している状態だ。
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