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カーテンを隔てた向こう側では、日々の管理業務に伴い少々日焼けをした長い手足と、布に覆われて他に比べ明らかに白い曲線を露わにしていた。
燦爛な世界に、目が釘付けにならないはずがなかった。
「まさか、ここまで上手くいくとは思ってなかったな……」
画面の向こう側は、先日設置してきた大家の神影美月が日常生活の大半を過ごしているリビングだ。
ソファーに寝転びながらノートパソコンを開き、ナスビとしてせっせとブログを更新していた。
「この日は、庭にタマゴを発見! どんな姿に成長するか、楽しみ(喜)か……」
彼女の庭には、椿、紅葉、盆栽など数多く緑が存在していた。実際に目視したのもあれば、ブログから既得の知識としたのもある。
蝶か蛾か、テントウ虫、アブラムシの他になにがいただろう。
話のきっかけになればと、虫のタマゴを画像と共に検索した。
「……うわ」
下にスクロールしていくと地味だったりカラフルであったりと、ブツブツなタマゴが葉っぱにびっしりとついている画像になった。
まともに虫を見るのは、幼少期に親の田舎に帰省した時以来だ。
動いてはいないが、あまり気持ちの良いものではなかった。
「もし見つけたら、速攻で葉っぱちぎり捨ててるわ……」
緑が好きだからタマゴを愛でられるのだろうと、心底思った。
理想郷から現実世界に引き戻されていると、部屋にチャイム音が響いた。
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