十二章

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私と夏基はそろって私の家に戻る。 「お帰り、夏基くん」 お父さんは両手に漫画を抱えた私たちを見て大笑いした。 「言えば車で連れて行ったのに」 「いいよ別に」 夏基と一緒に行きたかったのだから、とは言わない。 「ごめんね夏基くん、重かっただろ」 「重かったですよ、遠慮なくドンドン人が持つカゴに入れてくんだから」 「うっさい! 悪かったわよ!」 口を尖らせる私を見てお父さんと夏基は笑い合う。すっかり二人は仲良しだ。 「しまう場所は作ってるのか」 「当たり前でしょ」 階段を上る私たちを見つけて、お母さんが「あら夏基くんいらっしゃい」と声を弾ませる。初めて家に呼んだ時と違って、遊びに来る三日前くらいからいそいそとお菓子やお茶を用意している。「夏基くんは何が好きなの?」としつこい。
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