101人が本棚に入れています
本棚に追加
お父さんが二階から忙しない足音を鳴らしたと思ったら、もうリビングにお母さんの姿はない。
「まぁまぁ、お待ちしておりました!」
お母さんの、いつもより1オクターブ程高い声が響く。絶賛掃除中だった癖に。仕方なく私は放られた掃除機を押入れに片付けてあげた。
「まだまだ肌寒い日が続きますねぇ」
お父さんののんびりした声と共に、海外ブランドの洒落た春コートを纏った中年男性がリビングに足を踏み入れる。
きついコロンが鼻に刺さり、私の顔が歪んだ。1メートルは距離を置いているんだけど。
最初のコメントを投稿しよう!