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中年は、仕方なくその場に突っ立っている私を見つけにこやかに挨拶する。
「やぁ、アンリちゃん。大きくなったなぁ」
二ヶ月前に会ったじゃない。そんなに変わらないわよ。
「ご無沙汰してます。社長」
私は両手をおへその前で組みうやうやしく一礼する。すると社長はニンマリと微笑んだ。
「やはり君のお嬢さんはいい子に育ってるな。室住君」
「恐れ入ります」
父は口元を少し緩める。
「うちの息子のお嫁さんに欲しいくらいだよ」
冗談は顔だけにして欲しいのだけど。
「あらあら、勿体ないお話ですわ」
母の愛想笑いに拍車がかかる。そうそう、貴方の息子に私は勿体無い。
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