第二十三話  孤立

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すぐに薪を背負ったヨシが、ミコの手を引いて帰ってきた。 顔色が優れぬヨシの様子を見て、三郎が、ほれ、と椀を渡す。 「イダテンが頭痛に効く薬湯とやらを作ったぞ」 「まあ、イダテンが?」 ヨシは、眼を閉じて匂いを嗅ぐと、 「効きそうなこと」 と、ためらいもなく、ぐいと飲みほした。 イダテンは唖然とした。 困惑したといったほうが近いかもしれない。 ヨシが、こうも簡単に口にするとは思わなかったのだ。 自分が先に飲んで見せるつもりだった。 横に置いた根茎も、この薬湯が毒ではないと、わからせるために残していたのだ。 そこまでしても、口にしないのではないかと考えていた。 怪しげな、鬼の子が作ったものだ。それが人というものだろう。 ヨシは、にっこりと微笑んで続けた。 「作り方は秘伝ですか?」 意外なことを聞かれ、いや、とイダテンは首を振った。 その答えにあわてたように三郎がすり寄ってきて袖を掴んだ。 「まてまて、イダテン。もしも、この薬湯で、おかあの頑固な頭痛が治るなら、これで一儲けできようぞ。ここはひとつ、秘伝ということに……」 「三郎!」 頭痛で苦しんでいるとは思えないヨシの声が家中に響き渡った。     *
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