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ヨシの制止など、お構いなしに、しげしげと頭を見ている。
黙っていると、興味は食べることに移ったようで、空になった椀を見つめ、毎日食いたいものじゃ、とつぶやいている。
三郎の問いはイダテンの疑問でもあった。
父には角があったと聞いている。
大人になったら生えるのか、人との間に生まれたから生えぬのか。もはや、尋ねる者はこの世にはいない。
もっとも、角などなくとも燃え上がらんばかりの髪を見れば、一目で人ではないとわかる。
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