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「改めて名のろう。わしの名は三郎じゃ。鷲尾三郎という――おまえの名はなんという? イダテンは仮名(けみょう)か? それとも字(あざ)か?」
言っている意味がわからない。
イダテンはイダテンだ。
そう答えると、三郎は、ふむ、と頷き、
「ほかに名はないのだな。ならば、そのように呼ばせてもらおう」
元服もまだ先であろう、と続けた。
世話になっているとはいえ、人とは交じりたくはなかった。
だが、ミコまでが、一緒に行こうと袖を引く。
振り払うこともできず腰を上げた。
人と共にであれば、これまで以上に建築物の側に寄ってみることができるかもしれない。
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