第十六話  侍たる者

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「おお、独楽(こま)で遊んでおる」 三郎が、よしよし、と満足そうに続ける。 「イダテン、おまえ、独楽は得意か?」 遠くから眺めたことがあるだけだ。 小さく首を振る。 三郎の声に数人が振り返った。 「赤鬼じゃ!」 と、いう声が上がり、五人が悲鳴を上げて逃げ出した。 ガキ大将らしい童が、自分と同じぐらいの年の者に指示して、泣くばかりで動けなくなった童を連れて行かせると、残ったのは二人だけになった。 背が高く体格の良い童と小さいがすばしこそうな童だ。 「おお、思った以上の反応じゃのう」 三郎は反応を楽しむように二人に近づいた。 三郎が話しをはじめると、誰かがイダテンの袖を引いた。 見ると、ミコが前に出てイダテンを見上げ、 「ねえ、イダテン、あとでミコと、ひなあそびしよう」 と、笑顔を見せた。 残った二人も三郎との話を切り上げ、去っていった。 袖を引くミコの速度に合わせ、広場の中ほどにぽつんと一人たたずむ三郎に近づく。     
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