第三話  ささらが姫
1/8

第三話  ささらが姫

民とは、国から土地を貸し与えられ、その収穫を税として収める者をいう。 男であれば六歳になると与えられるが、鬼である父に与えられるはずもない。 焼畑に加わることも許されず、山の斜面の樹木や岩を取り除いたやせた地で隠れるように作物を育てた。 見捨てておるくせに、税だけはとろうとする。 荒地を耕してようやく収穫した、粟、きび、ひえでさえも持っていく。 おばばは大工の家に育ち、母は巫女となった。 鬼の家族に百姓の知識を与えてやろうという者はいなかった。 父に狩りの腕がなければ生きていくことなど出来なかっただろう。 母が、おばばを呼びよせ、一緒に暮らそうとした理由も今となってはわかる。 おばばも人として扱われなくなったのだ。 ところが、鬼の婿は身に覚えのない罪で命を奪われ、娘は産後の肥立ちが悪く病床についた。 赤子を抱えたおばばは、たちまち食うに困った。 常に餓死と隣り合わせで生きてきた。 そのくびきから解放されたのは、イダテンに体力がつき、狩りと、山野での採取の腕の上がった、ここ二年ほどのことだ。 ちょうどその頃、おばばが大怪我を負った。 山賊に襲われ、崖から落ちたのだ。 それ以来、寝たきりとなった。