自己紹介は苦手

1/1
46人が本棚に入れています
本棚に追加
/98ページ

自己紹介は苦手

自己紹介が苦手なんです。 なにを言っていいのかわからないのです。 たとえばここでもプロフィール欄に自己紹介のページがありますが、 まさか、小説の投稿サイトで、趣味は小説を書くことなんですって書けないし、 ひとことで表現できる才能を持っている人をみかけるとうらやましくてよだれがでます。 なんでこんなこと書くかというと、 エッセイはじめてみたものの、なにを書いていいやらわからないからです。 もう「エッセイ、終わりました」って書いてネタにしてやろうかと思ったくらいです。 書きたいことがないわけではないのです。 今書いている小説のことも書いてみたいし。 むかし好きだった女性のことや、今まで出会ったおもしろい人のことも書きたいのです。 でも、ぼくはどうやら形式みたいなものにこだわりがあって そういうのって2回目に書くないようじゃないよなって思ってしまうんです。 昔、セールスマンをしていたとき、研修で、セールストークの勉強をしたわけです。 インストラクターの先生は言いました。 「本題を話す前にまず自分を売れ」 そうです、つまりは自己紹介です。 何者かわからんやつの話なんてきけるかってことです。 至極当然です。 話は変わりますが セールストークっていうのは小説を書くときにすごく役に立ちます。 Aという商品はですね。○○でできていて(事実)、とっても△△なんです(効用)、ですから☆☆にぴったりなんです(効果)。いかがですか。 この順番で書くと描写がそれなりに書けるんですよ。 森の木々は、急にやってきた冬のせいで(事実)、赤い葉を散らせていた(効用)。それがジュンコのさみしさをより深めさせていた。(効果) ほら、なんとなくそれっぽいでしょ。 じゃあ、自己紹介もそうすればいいのではないかと思うのですが なかなか。 なんでだろうと考えると頭がくらくらしてしまうんです。 しかたないのでいつも「ズッキーです、よろしく」ですましてしまうんですよね。 こんな女の人がいました。 いつもお酒につきあってくれるやさしい人でした。 そのとき、ぼくはとてもさみしくて、どうしようもなかくて、それでそのひとに「だれか女の子紹介してくれないかな?」と頼んだんです。 その人は笑いながら自己紹介してくれました。 とても素敵な自己紹介でした。
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!