優しい嘘、悲しい嘘

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「どうしたんだ!? 藪から棒に?」 「私、知ってる。本当は泉美が好きだったってこと。泉美もまた、芳樹が好きだったことも。もう、私は十分だよ。泉美の傍に戻ってあげて」  驚いた彼は慌てふためき、携帯でどこかに電話している。ほどなくして泉美が飛んで来た。 「何勘違いしてるの? 私はずーっと芳樹が芽衣を好きだっていうから応援してきたのよ? 今回、芽衣にプロポーズするから、て聞いて安心してたのに。彼はね、罪悪感から一緒にいるんじゃないか、て芽衣に思われてる、て私に相談してきてたの。どうして私と芳樹が思い合ってる、なんて話になるのよ!?」  泉美は半ば呆れつつ、私と芳樹のことを後押しした。正直、信じられない。だって泉美、嘘をつく時右目の瞬きが異常に多くなるんだもの。ほら、今……。  だけど結局、私は芳樹のプロポーズを受ける事になった。 「泉美はね、芽衣の事が大好きなんだよ。友達として以上にね。だから泉美は僕のライバルだったと同時に、よき相談相手だったんだ。誤解させてごめん」  彼はこの上無く優しく微笑んだ。 嘘をついていたのは結局誰だろう? ねぇ、芳樹。あなた、嘘をつくとき、鼻を触るんだよね。右手で。ほら、今……  完
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