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「以前も末永の方からお話があったかと思いますが、御社からの研究開発委託費を株の投資に回し、それが今回の大暴落により大損し、殆ど手元にお金が残っておりません。それと、会社の社員も全員が辞めてしまったことで事業存続は不可能な状態であります・・・
よって支払いは分割でお願い致します」西崎弁護士は申し訳なさそうに言った。
「うーん、当方と致しましては一括返済をお願いしたいのですが、そういう事情なら分割でも仕方ないですね」平和の伝道師、吉村弁護士は我々の方をよろしいですね、という顔をして見た。
「末永さんよ、おみゃーさん本当にうちが預けた研究開発委託費の2億円、全てありゃせんというんかいの。どこかに隠しているんと違うんかい」と、角田先輩は静かにそしてドスの利いた声を出し末永を鋭い目で睨みつけた。僕もそこのところを確認したいと思っていたところであった。
末永は、そんな角田先輩の態度にも動じることもなく、「今後の開発も含め、手元資金を増やすために投資をしました。私の不徳の致すところで結果的には失敗してしまいましたが・・・、決して疾しいことはしておりません。どうか、私を信用して下さい!」とまた、深々と頭を下げた。僕は、(お前なんか信用できるか!)と心の中で叫んでいた。
「で、末永さん、分割払いの方法を教えていただけますか?」助け船を出すがごとく、平和の伝道師、吉村弁護士が8000万円の分割払いへと話を戻した。
「はい。この様な状況ですので・・・、大変申し上げにくいのですが・・・、最初の一年間は月々30万円の返済で、二年目から月々100万円の返済ということでお願いできませんか」末永は、取敢えず申し訳ないといった顔をしていた。
「末永さん、そんな状態で月々30万円の返済は無理なんじゃないのですか?ましてや来年から月々100万円の返済をするなんて、何を根拠に言っているのですか?」僕は呆気らかんと返済の話をする末永が全く信じられなかった。
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