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心の中ではいつも孤独だった。
笑っていても、遊んでいても満たされる事はない。
それが、近しい友人には分かるのだろうか。
考えが特殊だの、変わっているだの、狂っているだの、サイコパスだのと言われる事もしばしば。
だが、私は別に何かしら脳に大きな障がいを抱えているわけでもなければ、顔が変形しているわけでもない。
強いて言えば、漢字が書けないディスレクシアという障がいらしいが、それも軽度で特にこれといった問題はなかった。
ディスレクシアは訓練でどうともなる障がいなのだ。
一時期は若さに身を委ね、悪い友人と車を走らせ、山を攻め、酒を飲めば、はしご酒を繰り返す時期もあった。
それでも、何故か自分がひとりである孤独感を打ち消す事は出来なかった。
仕事終わりに高速で2時間離れた場所に向かい、食事をして帰ったり、海外に気分で飛んだり、イベントに参加してステージで歌ったり、周囲から見れば満たされる人生を謳歌していただろう。
男にも不自由しなかった。
だが、気づけば私はいつも独りで泣いている。
ある時、一度だけ愚痴をこぼした時、そいつから「持つものの贅沢な悩み」だと言われ突き放された。
私が余計な自分語りを避けていたのも問題だろう。
いや違う。
私は、本当に贅沢な悩みを今も抱えて生きているに過ぎないのだ。
だが、それでも私の世界では孤独だった。
理解を得られないなら、もう助けなど要らない。
コレから何処かの文豪の様に、道化として生きれば良いだけの話だ。
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