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年末の出来事で火葬するのに3日待たされた。その間私も彼もずっと泣いていた。彼は「俺が旅行に行こうなんて言わなければ」と悔やんでいた。猫の死は彼のせいではない。誰かが悪いとすればそれは私だ。花を供え時折抱き、また泣いた。彼の涙と私の涙は猫の上に落ち同じように滑りおちていくが、彼の後悔と私の後悔は同じではない。 男と会う時間の方が家にいる時間より長くなっていた。家事もそこそこに男と会いホテルで自分を持て余す、そんな生活をしていた。 男を好きだと思ったことはない。性欲を満たすために私から誘い関係が始まったが、結局なにも満たされはしなかった。毎日毎日、男に抱かれながら本当は彼に抱かれたい自分を持て余していた。 彼を想う気持ちはあふれるほどなのに、毎日男に抱かれた。 猫の死は私を変えるかと思ったが男と会うのは変わらなかった。爛れた関係を断ち切らせ残された三匹をもっと愛してほしいと、きっと死んだ猫はそう願っている。それでも私は男と会った。好きでもない男と。
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