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嘘
男はとても幼稚な人間だった。
思う通りにいかないとすぐに私を責めたり何度も連絡をしてきたり、自宅近くの路上で絶叫したりした。SNSで私のアカウントを見つけ監視もしていた。私がそれに気づいてるとも知らずに。
どうやら男の彼女は遠方に住んでいるらしく、なかなか会えないようだった。そもそも私が嫉妬心を煽るために彼女を作ったようなものなので、彼女がいるから私への執着がおさまるかといえばそうではなかった。
喧嘩になった時の男の決まり文句は「今から家に行ってあなたの彼氏に全て話す、そうすればあなたは全て失う」だった。
最初の頃は必死でとめ、彼のなんらかの要求をのんでいたが、そのうち本気でそう言ってるわけではないことに気付き放っておくことにした。
なぜこんな面倒な思いをしてまでこの男を繋いでいるのか自分でも不思議に思うこともあったが、
彼との空虚な生活を送る私にとって、そんな幼稚な男でも体を重ねる相手が必要だったのだ。
壊れそうで嘘で満たされた生活でも私は失いたくなかった。男と重なっている時だけ、すべてを忘れることができた。私は男との交わりに執着していた。
私をとても愛しているというその男を憎みながら、男を手放すことはしなかった。
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