第28話 "再開"

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調理室を出た廊下で、慌ただしく看護婦が動き回る中に、その女はいた。 誰も違和感を感じる者はいない。彼女たちと同じ格好をしているからだ。 「これ、持って行きますね」と言って、昼食を乗せたワゴンが三つ並んでいるうちの、一つの前に立った。 余程忙しいのか、看護婦は誰も女のほうを見向きもせず、かろうじて一番近い人が「はい」と返事をしただけだった。 それを良いことに、女は、そのワゴンを押して歩いて行った。 病棟へ…
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