囚われの姫君 ②㊤

有里子が病室を出ると、女は手を動かしながら、時折ユリエの顔を垣間見た。左腕に巻いていた血圧計のマジックテープを剥がす音がして、取り外すと、元の位置に戻す。女はテーブルの上にトレーを置き、改めてユリエを見下ろした。女は背が高く、ベッドに座っているユリエに対して、見下ろす、と言ったほうが近い。そして窓を眺めているユリエに、女は静かに言った。「ユリエ」

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