第1章

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見守りが必要となる。そのことも踏まえて、 森崎は忠告したのだろう。プールに着くと同時に、排水用の装置を操作する。飛び込み台の脇のプールだけ水が抜かれるように設定し、 スイッチを押す。凄まじい勢いで水が排出されていく。勢いが衰える様子は見られない。  「これなら、見てなくてもいいだろ」  装置から離れ、プールからも飛び出し、学校の校門も抜け出す。約三時間も経てば、水は全て抜けるはず。その時間までは、近くのゲームセンターで時間を潰そうと考えた。目当ての場所に着くと、地下に降りて、なけなしのお金を使い、格闘ゲームに精を出した。  約三時間ほど経ったであろうか。  「さすがに見に行くか」  目の前の画面に映る自分のキャラクターが相手にノックアウトされた後、椅子から立ち上がり、地上へと続く階段へと足をかける。 その瞬間、自分の過ちに気付く。  プールの出入口に鍵をかけ忘れていた。  「ああ。やばいか?今日はもう皆帰ってるしなあ。ばれてなきゃいいか」  鼻歌を口ずさみながら、学校のプールまで戻る。目的の飛び込み台のプールの水が抜かれているか覗き込むと息が止まった。  赤い水が飛び散っている。水では無く、これは血だと八尋は認識せざるを得ない。  まさに、飛び込み台から飛び降りたかのように学生服の人物が頭から血を流して、うつ伏せに倒れていた。
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