近衛隊長の処女懐胎

16/19
291人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
椅子に腰掛けたままのバシリーは、ギルベルトの胸に頭を抱き込められる格好になる。 ドンドンと早鐘のような鼓動が、鼓膜を、バシリーの胸を揺らした。 「私は、バシリー以外を娶りたくはないが、我が血を引く子は絶対に欲しかった。だから、バシリー、二人目は私の子を……レオの弟か妹を産んで、私の妻となって欲しい。夜伽などではなく、夫婦の営みとして……バシリーと……」 この主君の願いを、叶えなかった事などあっただろうか。 いつもいつも、甘やかしてしまうのは。バシリー自身も、ギルベルトが誰よりも大事だったからだ。 ギルベルトの跳ねる心臓の音を聞いて、バシリーはようやく自覚した。 そして、自分がどう振る舞うべきなのか、はっきりと理解した。 「……分かりました」 ギルベルトの頬にそっと手のひらを添わせる。 白く美しい顎を指先でたどると、ギルベルトはぞくりとした表情で目を細めた。 「今から俺たちは主従ではなく、夫婦ですね」 「ああ、バシリー!私を……!?」 心底嬉しそうな笑顔を浮かべるギルベルトに、バシリーも微笑みかけてやる。 そうしながら、頬を撫でていた手を振りかぶり……全力で平手をかました。 バチイイン!!     
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!