近衛隊長の処女懐胎

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自分の野生的な顔立ちは嫌いではないが、神聖国の王というならギルベルトのような正統派な美形の方が良いだろう。バシリーはそう思っていた。 (しかし、なんだろうな、この会話……出産前の若夫婦みたいじゃないか) そんな事が頭をよぎると、なんだか妙な気分になった。浮き足立つような、頭がぼうっとするような。 だが、その感覚が何なのかは、良くは分からない。 だから、気にせず蓋をしておくことにした。 ※※※※※ 受胎告知から二カ月。 ついにその日がやってきた。 「うっ、うぎゃああ安産じゃねぇのか!?安産じゃねーのかあああ!!」 「はいはい。安産だよ。すごく順調に子宮口開いてるよ」 「嘘だろイッテぇぇぇ!!」 「だ、大丈夫かバシリー!私が付いているぞ!」 「いらねぇぇでてけぇぇぇ!!」 「えっ……」 激しい痛みに思わず素に戻って喚き散らすバシリーの手を握り、ギルベルトは真っ青な顔で硬直していた。 だが、出て行くつもりはないらしい。取り乱す姿を見られたくないので、本当にさっさと出て行って欲しい。 「順調だよ!もう出てきそう。さすが神の子だねー」 産婆はしきりに順調だと言うが、バシリーは腰が砕け散りそうな激痛に、今にも意識を失いそうだった。 神の子でこれなら、人の子を産む女性達はなんて我慢強いのだ。 「はーい、強い陣痛が来たらいきんでねー」 「ふう!ぬぅ、うううう!」     
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