近衛隊長の処女懐胎

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産婆から赤ん坊を受け取り、ギルベルトはうっとりと呟いた。慈愛に満ちた微笑みを浮かべて赤ん坊を抱くギルベルトは、兄というより父のようだ。ギルベルトの腕の中の赤ん坊は、ふえふえ泣きながら、白くて小さな手をにぎにぎさせている。 その姿を見ていると、何故か胸がキュンとする。胸といっても心臓の部分ではない。両乳首のあたりだ。 神の子を産んだ男は母乳も出るようになるというが……。 バシリーは疲労と困惑で、言葉を失っていた。 産後の処置を終えると、王宮に用意されたバシリーの部屋へと担架で運ばれた。 今日からは、バシリーは王族の一員だ。なにせ、次期国王の母なのだから。 やたらと広い部屋の真ん中に置かれた、巨大な天蓋付きの寝台には、なぜか枕が二つ並べてある。 そこに横になって、隣に置かれた赤ん坊用の寝台をぼんやりと眺めた。 中には、まるで綿雲のようにふかふかした赤ん坊が眠っている。 「……母親、か……」 将来父になる想像は出来ていたが、まさか母になってしまうとは。 ギルベルトに似た髪の色と顔立ちを見ていると、少年の頃の彼の姿を思い出す。 ギルベルトの母上は、ギルベルトが生まれてすぐに老衰で亡くなられた。70歳はこの国でもかなり珍しいくらいの高齢だったから、仕方ないだろう。     
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