安藤さんは平穏に暮らしたい

2/2
前へ
/5ページ
次へ
――――唐突だが、俺は平穏に暮らしたいと常々思っている。 何事もなく、平凡で平和な日々。 穏やかな日々を送る。 そんな些細なことを、俺は望んでいるのだ。 望んでいる……。望んでいるのだが…現実は非常である。 大抵の願いは叶わずぶち壊される。 現に俺は――― 「おら!カバンに金詰めろ!死にてぇのか!あと逃走車の手配だ!サツに連絡したヤツは殺す!人質も殺す!わかったらさっさとしやがれ!」 「…………めんどくせぇ…」 ―――銀行強盗の人質になっている。 屈強な男の左腕を首に回され、右腕のマシンガンで脅されている。 これぞ人質! って感じの人質だ。 100人に聞けば100人が人質と答えるだろう。 何度でも言うが、俺は平穏に暮らしたいのだ。 こんな平穏とは程遠い出来事に巻き込まれたくないのである。 銀行強盗するなら、俺のいない所でやってくれとさえ思う。 さて、俺がなぜこんなことに巻き込まれているのか、それを回想してみようか。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加