七瀬さんじゃなきゃ、ダメなんです。

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「了解です」 「うむ。では行ってくる」 「今日、一眠りしたら電話します。焼き肉食べに行きましょう」 「分かった、いつでもかけてこい」 「彼女になって下さいね」 「すまんな、私は嘘つきは嫌いなもんでな」 「七瀬さんに嘘をついた覚えは1度もありませんけど」 「ハゲヅラを被ってハゲだと騙していたじゃないか。嘘をつく人間とはなれ合わない主義でな」 うむ、我ながら良いかわし方だ。 「あれは嘘じゃありません。あくまで自分の身を守る為の只の擬態です」 擬態。外敵から身を守る為に色を変えたりして身を隠すというアレか。 「そうか……それはやむを得んな」 「はい。だから付き合って下さい。いつも一緒にいたいのは、付き合いたいのは七瀬さんなんです。七瀬さんじゃなきゃ、ダメなんです」 エンドレス告白。 さて、ここで問題。 羽生君は、七瀬さんじゃなきゃダメなんですと何回言ったでしょうか。 「トイレ掃除行ってくるから、それからその件については考える」 「分かりました、お願いします」 とりあえず、これで5分は時間を稼げた。 七瀬桃子、30歳独身。彼氏いない歴、年齢の数だけ。 見た目もアダ名も超合金。肉と炭水化物さえあれば他には何もいらない。棺桶には、花の代わりに肉と白米の敷き詰め強く希望。 夢は焼き肉と白米で出来たお城に住むこと。 以上だ。 「はよざいまーす。……あれ。七瀬さんと羽生君、なんか良い雰囲気だね」 「那智さん、おはようございます。今日から晴れて七瀬さんとお付き合いすることとなりそうです」 「あぁそうなんだ、おめでとう良かったねー。羽生君の長かった片想いもこれでようやく終結かー。また今度詳しく聞かせてよ。2人のこと漫画にしたいって、うちの先生が言ってるから」 「分かりました。また後日改めて」 うん、とりあえず言ってろ。 七瀬さんにはトイレ掃除が待っている。 この後、朝一から常連の沢尻さんの朝一恒例トイレチェックが入るからな。 ーーENDーー(←続く?)
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