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大学で一番目立つ女の子。そんな子と、友だちになったりしたら、人によっては災難だと思うだろうし、人によっては名誉だと思うかもしれない。
わたしはどちらかというと、彼女と一緒にいるのが恥ずかしかった。語弊のある書き方だろうか。……いや、思いのまま書こう。これは単なる日記だ。自分以外のだれにも見せるつもりのない。
……美容師になるという夢、……とうとう言い出せなかった。わたしは、両親に対しても自分にも、中途半端な気持ちのまま、S県のS大学に進学した。……そんなこと、わたし自身は百も承知だろうけど、一応。
だって、それすら、はっきりしない日が来るかもしれないでしょう?
大学に通いながらでも、美容師の勉強をすることは不可能ではない。そのことに気付かされたのは、一年目が半分過ぎた頃だった。人づて、……つまり、Mの紹介で、わたしは個人経営の美容院であるWでバイトをすることになった。
美容院でのバイトに合格しても、いきなり髪を切らせてもらえはしない。客の立場に立てばわかる。たどたどしいハサミを向けられたいとは思わない。
わたしは雑用をしながら、美容師の仕事がどんなものかをノートに書き留めた。だいたい知っているつもりだったけど、バイトをして、はじめて気付くことも多い。それについてはべつのノートにまとめてあるから省略する。
美容院の時給は、雑用だから当たり前だけど、その辺のバイトと同等かそれ以下。わたしは稼いだお金で安物のハサミを一揃えとカット練習用のかつらを買った。それで残りなんてなくなって、仕送りをできるだけ貯金するよう努力した。通信制で美容師免許を取得するための資金だ。
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