Reincarnation-s(epilogue)

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Reincarnation-s(epilogue)

…… 私は嫉妬していたのだ。 あの神々しいほどの美しさに。その美貌に。 そしてそれが人間であることに。 意地悪をしたくなった私は、彼にその愛する人の真実を告げに行った。 だが彼のもとを訪れた時、すでに命の灯火は消えていた。 私は慈悲の心で彼を花に変えたのではない。 死に歓喜し、嘲笑う気持ちで、死者に手向ける花そのものに変えてやったのだ。 美談などではなかったのだ。 そして皆(神々)は彼の魂を浄化し、未来を託し、再び地に降り立つ手助けをした。私も力を貸した。 ところが……その時、私は神としてあるまじき行為に及んだ。 私は彼を呪ってしまったのだ。 ゆめゆめその想いが成就せぬようにと。 私は神として最も罪深いことを行った。嫉妬の炎に焼かれて。その美貌と、不完全な魅力を持つ人間であることをうらやんで。 いつの日か私の罪に罰は下るのだろうか? 我が名はアプロディーテー。 愛と美と性を司る神……。
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