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結婚式の日は梅雨が明けるかどうかという微妙な所だったが、その日は朝から晴天で、
穏やかな青空が広がっていた。
午後一番の式は 11時から控え室に入れる事になっていた。
ロビーに着くと、公太さんが出迎えてくれる。
「この前の担当の方を花さんの方に行ってもらう事にしました。 うちの妹と子供がそちらの控え室でお世話になるので……。何かあればすぐ、担当の方に言って下さいね。」
「公太さん、うちの子の衣装?」
「花嫁の控え室で着替えられるように準備してあるそうです。 お姉さん、今日は宜しくお願いします。」
公太さんが頭を下げると、お姉ちゃんも、
「こちらこそ、よろしくお願いします。あっ、そうだ、公太さん、これこれ。」
そう言うと、公太さんに近寄っていく。
その時担当の人が、
「急いで準備始めましょうか。 ヘアメイクさんももうすぐいらっしゃいますから。」
と言うので、急いで控え室に入った。
お姉ちゃんもすぐ入って来て、ドレスを着るのを手伝ってくれる。
ドレスを着てカーテンを開けると、控え室にいた公太さんの妹、可奈さんとヴェールを持つためにお揃いのお洋服に着替え予定の子供達が歓喜の声を上げた。
「綺麗。花さん綺麗ですぅ。」
公太さんの妹の可奈さんとは初対面だったが、可奈さんはすごく人懐こく明るい、可愛らしい人だった。
「ありがとうございます。」
可奈さんの小さなお子さんがドレスに寄ってくる。
「かわいい。」
「ああ。駄目よ、ドレスに触っちゃ……涎ついたらお兄ちゃんに怒られちゃう。」
と、可愛いい子を慌てて放す。
「駄目ですよ。ヴェール持つのも2歳じゃ無理だって言ったんですけど、花さんのお姉さんのお子さんが一年生だから大丈夫だって言われたので…ごめんなさいね。 無理そうだったら、辞めさせるので。」
「いえ。嬉しいです。 こんな可愛らしい お嬢さんにお手伝いしてもらえるなんて……。
本物の天使みたいですね。」
白いドレスに背中に羽根を背負う予定らしかった。
それを見て、お姉ちゃんが、
「うちの子は準備出来てるのかしら?」
と不安そうに覗くと、カーテンから出て来た雪ちゃんを見て、
「かわいいー。」
と、その場の全員の大人が同時に叫んだ。
本当に二人とも天使のように可愛らしかった。
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