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「無駄なお金の使い方をしているとは思って無いのですが……。」
と、私をなだめるように穏やかに言う。
「…………。」
「これから、離れて暮らすことになるし、花さんからのプロポーズで申し訳なく思ってました。花さんにしてあげられる事は、出来るだけしてあげたいと思ったのです。」
「………。」
「ドレスも、ティアラも花さん似合ってて綺麗でしたし……。買って良かったと思っていたのですが……駄目でしたか?」
「駄目じゃないです………。もう!そんなふうに言われたら怒れません!」
と、公太さんを軽く叩くと、
「ええ。怒ってたんですか?」
と、真顔で驚いて見せた。
クッーっとお腹が鳴ったので、2人で大笑いした。
「じゃあ、私は卵サンドにします。ありますよね?」
立ち上がってそう言うと、
「はい。僕はカツサンドにしようかと……。」
「ボリュームありますねぇ。 夕ご飯入ります?」
と、意地悪っぽく聞くと、
「朝も食べれなくて、昼も少しだったので余裕ですよ。」
と言い、受話器を取った。
ルームサービスを待つ間、公太さんにお茶を淹れて今日を振り返ってみる。
「天使の羽根、可愛かったですよね?」
「あぁ………。衣装のレンタルしておいたからって連絡したんですよ。」
私は黙って聞きながら、頷く。
「可奈の子が小さいから、百合さんと打ち合わせしたいて言い出して、百合さんに聞いてから、姉の携帯を教えたのですが。」
「初耳です。」
「何ですかねぇ…。 妙に気があったみたいで、翌日、背中に羽根背負わせる事にしたから、式場でレンタルしといて。という連絡が…。」
「式場に羽根のレンタルあったんですか?」
「電話して確認済みだったんです。 重みとか大きさとかあるので、電話だけでは予約も出来ないそうで、行って来いと言われました。」
「それは、うちの姉がすみません。」
「いえ。 あれは間違いなく、うちの姉の方です。」
「それで公太さん、姉の方が疲れますって言ってましたもんね。 言ってくれたら協力したのに……。」
「僕の方が近いですから。それよりも、婚約指輪が悩みました。 気に入らないとかあったら言って下さいね。聞く勇気がなくて今になってしまいました。」
「気に入ってますよ? 嘘じゃなく。 大きなダイヤって正直、私の指には合わなくて、小さなお花の形がかわいいです。」
「それなら良かった。」
ほっとした笑顔が見れた。
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