結婚式

8/10
1119人が本棚に入れています
本棚に追加
/405ページ
「無駄なお金の使い方をしているとは思って無いのですが……。」 と、私をなだめるように穏やかに言う。 「…………。」 「これから、離れて暮らすことになるし、花さんからのプロポーズで申し訳なく思ってました。花さんにしてあげられる事は、出来るだけしてあげたいと思ったのです。」 「………。」 「ドレスも、ティアラも花さん似合ってて綺麗でしたし……。買って良かったと思っていたのですが……駄目でしたか?」 「駄目じゃないです………。もう!そんなふうに言われたら怒れません!」 と、公太さんを軽く叩くと、 「ええ。怒ってたんですか?」 と、真顔で驚いて見せた。 クッーっとお腹が鳴ったので、2人で大笑いした。 「じゃあ、私は卵サンドにします。ありますよね?」 立ち上がってそう言うと、 「はい。僕はカツサンドにしようかと……。」 「ボリュームありますねぇ。 夕ご飯入ります?」 と、意地悪っぽく聞くと、 「朝も食べれなくて、昼も少しだったので余裕ですよ。」 と言い、受話器を取った。 ルームサービスを待つ間、公太さんにお茶を淹れて今日を振り返ってみる。 「天使の羽根、可愛かったですよね?」 「あぁ………。衣装のレンタルしておいたからって連絡したんですよ。」 私は黙って聞きながら、頷く。 「可奈の子が小さいから、百合さんと打ち合わせしたいて言い出して、百合さんに聞いてから、姉の携帯を教えたのですが。」 「初耳です。」 「何ですかねぇ…。 妙に気があったみたいで、翌日、背中に羽根背負わせる事にしたから、式場でレンタルしといて。という連絡が…。」 「式場に羽根のレンタルあったんですか?」 「電話して確認済みだったんです。 重みとか大きさとかあるので、電話だけでは予約も出来ないそうで、行って来いと言われました。」 「それは、うちの姉がすみません。」 「いえ。 あれは間違いなく、うちの姉の方です。」 「それで公太さん、姉の方が疲れますって言ってましたもんね。 言ってくれたら協力したのに……。」 「僕の方が近いですから。それよりも、婚約指輪が悩みました。 気に入らないとかあったら言って下さいね。聞く勇気がなくて今になってしまいました。」 「気に入ってますよ? 嘘じゃなく。 大きなダイヤって正直、私の指には合わなくて、小さなお花の形がかわいいです。」 「それなら良かった。」 ほっとした笑顔が見れた。
/405ページ

最初のコメントを投稿しよう!