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実家に着くと安心なのか、緊張が解けたのか、すっかり油断したのか倒れこんでしまった。
電車の揺れが予想以上に頭を刺激するようで、いつも眩暈がひどくなる。
「大丈夫? 公太さんにはばれてないの?」
むしろその方が良いという感じでお姉ちゃんは言う。
「うん。 眩暈は時々だったし、吐いた時は公太さん寝ていたし・・。」
濡れタオルを額に置かれ、慣れた部屋で横になる。
「帰りはいいとしても、公太さんの所に行くときに電車は駄目かもね。」
と、不安そうにお姉ちゃんが言う。
言われてみれば、ホテルのエレベーターもきつかった。
乗っているときは眩暈が増して、降りてからもフラフラし気分も悪かった。
(乗り物は良くないかもしれない )
とはいえ。乗らなければ公太さんの所にはいけない。
「大丈夫、早く行って、公太さんが仕事に行った後、部屋で休んでいるよ。それならばれないはずだし・・。」
「うん・・でもねぇ。駅からアパートまで移動中も心配だわ。」
眩暈はどんどんひどくなっていて、立てない時も増えて来た。
フラフラするだけならまだましだ。
お姉ちゃんの心配も分かる。
自分も不安でいっぱいなのだから。
とりあえず、今は安静にして早く眩暈が鎮まるのを待つだけだ。
次に公太さんの所に行く時は、眩暈が少ないように祈るだけだった。
こうして、眩暈と吐気と闘いながら、私の新婚生活は始まったのだ。
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