眠る

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 光男のたった一つの欠点は、眠りすぎることだった。  赤ん坊の頃からよく眠った。ミルクを欲しがるより眠ってばかりいた。  夜泣きもないので母親は大層喜んだが、あまりによく眠るのでいささか心配になった。  それでも眠れないよりはマシと思い、さほど気にしてはいなかった。  学校に通うようになると、光男は遅刻ばかりした。  これには母親も辟易し、毎朝息子を叩き起こしては学校に向かわせていたが、授業中に居眠りする始末だった。  父親や教師に叱られている最中にも寝てしまうので、皆呆れて 「お前は本当に寝汚いやつだ」  と言った。  寝てばかりのくせに勉強や運動は人並みにできたので、どうにかこうにか大学を卒業して就職した。  その頃になると、光男の眠り癖もだいぶマシになっていた。  ただ一度眠ると、昏々と深く眠ってしまうので、起こすのが大変だった。
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