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ある夜、酔ってふらふらと歩いていると、急に地面が消えて何かの穴に落ちてしまった。
マンホールの蓋が外されていたのか、工事現場だったのかはわからなかったが、相当に深い穴だった。
「おーい、おーい」
と呼びかけても誰も気づかない。
光男はこんな穴に落ちた自分が惨めになり、何もかもが嫌になった。
そうすると、ここ数日感じていなかった、強烈な眠気が襲ってきた。
――そうだ、眠ってしまおう。現実逃避でもなんでもいい。もう何もかもどうでもいいんだ。
眠って、目が覚めたら、きっと――。
穴の中で、光男はいつの間にか深い眠りについていた。
それは今までにないほどの、深い深い眠りだった。
外の喧騒など届かないほどに。
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