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「一月経ったからお知らせでーす。勇者がこの世界に誕生しましたー。ダンジョンに来るかも知れないから準備を怠らないでね?」
「何? 勇者だと。ふん、我がいれば勇者など一捻りよ!」
「何で魔王のアドジエがこんな所にいるのさ!」
「魔を司る王である我がこのダンジョンの異様な魔力増加に気付かぬはずがあるまい。それよりも神であるパンゲ、お主が来る方がおかしいのではないか?」
「ぐぬぬ、良いんだもん。僕は新しいダンジョンマスターがちゃんと運営してるか確認する義務があるんだからね!」
「そう言って、本音はここの飯目当てであろう。お主が現れる度にコッソリとニュエムがお弁当を用意するのが大変だと愚痴をこぼしていたぞ」
「ニュエムー?」
「私の苦労をご存じないパンゲ様には申し訳ありませんが、愚痴の一つもこぼしたくもなります。それともお弁当を用意しなくてもよろしいですか?」
「いる!」
「なー、俺は放置か? 勇者はこのダンジョンを攻略しに来るのか?」
「んー、このダンジョンって攻略する意味ない気がするんだよねー。まぁ、冒険者達もこのダンジョンがすでに復活していたなんて思ってもいないみたいだから、もしかしたら勇者にも気付かれないかもね」
「ならこのまま現状維持のままでいさせて貰うわ。魔力も大分貯まったから、いざという時は何とか出来るだろうし。てか、魔王が滞在してると魔力の増加が半端ねーんだけど」
「我を魔王と呼ぶでない! 其方にはアドジエと呼べと言ったであろう」
「へいへい、アドジエ様。城には帰らなくて良いのか? 勇者対策しないのか?」
「その辺りは全部宰相に任せている。我抜きでもデーモンロードの力があれば勇者とて苦戦を強いられよう」
「魔王の宰相ラスボス並かよ。そう言えば、アドジエのお陰で魔力が10万超えたんだが、何かご褒美あんの?」
「ズルしてる訳じゃないけど、納得いかない! でもご褒美は上げるよ」
魔王が先週突然現れた時はマジでビビったけど、日本の食事は偉大だった。接待でお腹を鷲掴みした為、こうして用もないのに訪れて来るから魔力がうなぎ登りだよ。
「今回は新しいモンスターを二体召喚出来るようにしたよ。早速試してみなさい!」
「命令かよ。まぁ、試すけどさ」
ダンジョンコアに手をかざして確認する。
《新しいモンスターが召喚出来ます。どちらを召喚しますか? 天使、悪魔》
ブフォ!
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