ショーアトラクションのお披露目

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ショーアトラクションのお披露目

予め告知をしておいたのが功を成したのか、老人と孫の姿が見受けられた。今日はアトラクション第二弾のお披露目となる。冒険者の姿も有るのは新しいもの好きなのか、たんに暇だったのか。 「アドジエ、お前は今日来る必要があったのか?」 「何事も一番に体験するのが通なのだ」 「今回は前回と内容が違うから、嫌な気分になっても知らんぞ」 「なぁに、大人数での臨場感とやらを楽しませて貰う。作り話に目頭を立てるのも無粋であるしな」 「そうか。多分始めの入場者は子供が多めだから、サプライズが有る。それも楽しみにしていろ」 「ほほう、サプライズとな」 特別優待席を客席とは別枠で設置してある。これはやんごとなき位の者が来ても大丈夫な様にする為の措置でもある。てか、現に魔王が紛れ込んでるし。 最初の100人を会場に入れ終えたら、次の100人を扉の前に並ばせる。開演時間は10分程。退屈させない様待ち時間の間に、ショーアトラクションとは何ぞや? 又、結界についての説明等を次に開演した際のナレーション役になる者に任せて、コミュニケーションも同時に計らせている。 「皆んなー今日わー!」 「「「こんにちわー!!」」」 ナレーション役の者が客席に向かって声をかければ孫達の元気な声が返って来る。 「ショーアトラクションへようこそ! 私は今回のショーをナレーションするレノスキア。宜しくね!」 ドライアドの彼女が大袈裟な身振りで自己紹介をする。説明云々を語っている間も、相槌を求めたり理解したかの確認をいちいち取ったりと客の関心を集める。演技指導が上手くいったな。ヒーローショーのお姉さんっぽい。 「それではこれより、ショーアトラクションの開始を宣言します! どうぞ楽しんで行って下さいね!」 拍手を貰いながら退場する。そして舞台の幕が開き、開演した。特別優待席にはアドジエと俺と、ついでにパンゲが座っていた。本当に呼んでないのに何故来るんだろう。 「今回は前回とは違うパターンなんでしょう? 楽しみだなぁ」 「大人しく観ていろよ? 騒がしくしたら出禁にするからな」 「はーい」 今回拐われるお姫様役はバンパイアのネメシロア。籠の中の鳥である事を嘆いた儚げな仕草が板に付いており、客席から溜息が漏れていた。 魔王役は男性が少ないので悪魔を追加で呼び、何とかメンツを確保した。勇者役の奴も合わせて揃いも揃ってイケメンばかり。客席のお婆さんから私がもう少し若ければとか呟きが聞こえて来た。おいおい。 そして、舞台は助けに来た勇者が魔王と対峙するクライマックスへと突入する。いよいよ歌姫の登場とサプライズの出番だ。
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