カラオケ大会は続く

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カラオケ大会は続く

二番手はゴブリンのノルチョだ。最近店が忙しくて手が離せなかったと思っていたが、どうやら料理魔法なる便利な魔法が使える様になり、仕込みが数秒で終わる為時間が取れる様になったんだとか。魔法って凄ぇ。 「聴いていると何だか無性に眠くなりますね。彼女は催眠効果の能力か何かを持っていましたか?」 「いんや、アレは単にテンポの問題だ。聴き取れるギリギリの遅さで演歌を歌っているせいで子守歌に聴こえているんだ」 面白い歌い方だが、アトラクション向きでは無いな。点数は5点止まりにしておいた。他も4点台で収まっていた。 三番手はコボルトのショコロだ。最初の歌い手にしただけあり、とても歌唱力が有る。 「何故でしょう? 演歌の筈ですが、アニソンに聴こえるのは」 「アニソンの歌い方に染まりすぎたか。上手いんだが、コレはチョット違うな」 結果は7点と高得点から一歩足りない点数に。他も8点以上は出さなかった。 四番手はスズメのピアレ。初の獣耳な店の看板娘である。何時迄も少女のままでいて下さい。 「嗚呼、癒されるな」 「彼女、回復魔法が使える様になった様ですよ。歌にもヒーリング効果が出ていそうですね」 しかし、今回のアトラクションで使う演歌で欲しいのは癒しではなく鼓舞。結果は8点と今までの最高得点を出してはみたが、歌姫になる事は無いと思う。 五番手はワーウルフのミリヌ。六番手はワーキャットのエルカ。二人はユニットで売り出したせいか、其々一人で歌っているのを見ると物足りなく感じた。本人達も歌っていて何か違う感じがしていたのだろう、イマイチだった。 「彼女達は変わらずユニットを続けて貰った方が良いのでしょうね」 「そうだな」 七番手は悪魔のジェクメ。今は整体師をさせているが、溢れ出る大人の魅力、主に胸が出ていて歌が耳に入らない。 「彼女を歌い手にすると野郎供が群がってしまうのでは?」 「俺もそう思う」 八番手は天使のロギシュ。此奴はショタでは無いから向いてると思うのだが、何か変な後光が差し混んで見える。老人達が聴いたら、そのまま昇天してしまいそうで怖い。二人には悪いが個人的な理由で点数を低めにさせて貰った。 「これまで出たのが古参の奴等か。次からが新しく増えた者達なのだろう? どんな奴等か楽しみだな」 「アドジエが楽しめるかは知らんが、増やしたのは数名だ。出来ればピアレより演歌を上手く歌えてくれると良いんだが」 いよいよカラオケ大会は終盤に入る。名付けはしたものの、俺もあんまり彼女達の事を見ていたわけでは無いので、どんな結果になるのか予測がつかない分楽しみではある。 隣のパンゲが殆ど喋っていないので変だと思って見れば、本人は演歌で歌う曲選びに夢中だった。飛び入り参加する気満々じゃねえかよ。
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