第2章   面接

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「男にしては美しい顔をした奴だ。お藤、こいつの顔は好きか」  え!? 俺は目を剥いた。 木曜さんは立ったまま金曜をじっと見つめて慎重な物腰で答える。 「私はお藤やありません、木曜です。彼はかあいらしいお顔したはりますね。でも、なんでうちに尋ねはりますのん?」 「お前が気に入る顔を選んでやろうといっているんだ、お藤」  金曜は微笑んだ。 あ、あのー。お藤って誰? 俺おいてけぼりにされてますけど、顔を選ぶとかって何の話?  それにしても、日野金曜てこんな子だったろうか。学校では場面かん黙症だって聞いていた。詳しくは知らないけど、状況によって喋れなくなる病気だ。だから話は筆談だ。さっき庭でも筆談で話してた。なのに、喋れてるのも変だった。自分のうちでなら喋る事もできるのだろうか。  だが一番違和感があったのは、威圧感のある態度だ。彼女はもっと、ふんわりした大人しい感じだったような。もちろん、5月から学校に来なくなってしまったのでその後の彼女をよく知っているわけではないけど。でも俺は日野金曜と接触したことがある。  えっと、確かあのときは……。     
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