第1章   まずは訪問

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「何だと!? 里親は中年のおばちゃんがなるのが相場じゃないのか!? 今からでもいい、俺と代われ」  後ろからかなり本気で首をしめられてうぐぐぐ、と俺は呻く。 「やめろよ」 すぱーん、という音がした。途端に呼吸が楽になる。咳き込みながら見上げると、同室の先輩が雑誌を丸めて立っている。その雑誌ではたかれたらしい仲間は頭を押えて唸る。そいつを足で追っ払いながら、先輩は少し笑った。 「よかったな。うまくやれよ」  先輩はもうじき近くの工場に就職する。俺は黙って頭を下げる。ショルダーバッグに抱えてた服をつめこんでジッパーをきちんとしめ、肩にかけて立ち上がった。  ちょっと緊張しながら玄関に顔を出すと、お養母さんは外で待ってはるわよとおばちゃんが教えてくれる。 俺はおばちゃんに挨拶をすませ、自動ドアを出かけて振り返った。施設の仲間どもが俺の背中に紙つぶてをぶつけたからだ。いって。 「最後の最後だぞ。泣いて行くなとか言っとけや、おまえら」  あほか、とあきれたように先輩が言った。 「さっさと出てけ。とりあえず帰ってくんな」  そう言って苦く笑う。  遊びにこいや、ただしお義母様と一緒に、とか言っている仲間どもに、俺は手を上げる。 「じゃあな」 「色男!」 「二度と戻ってくんな!」     
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