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施設を出てすぐ、俺は小さな地蔵祠の前で立ち止まり、手を合わせる。
気付いて歩みを止めた彼女が頷く。
「またいつか、わからないことがあったら、ここに来なさい。私はいつでも答えるから」
彼女の名前は日野ひめ。実は、かなり昔から俺と文通歴がある。文通っていつの時代だよというツッコミは聞かないでおきます。
そもそも事の始まりは5年前、俺が11歳の時のことだった。俺は養護施設に入ったばかりで誰にもなじめず、裏庭の野菜園で1人遊んでいた。入りたてはそんなもんなのかもしれないけど、つまりかわいそうな感じの子だったわけだ。
昔から俺は植物、金属、石、その他の全ての魂が見える。当時、彼らは俺の唯一の友達だった。だがそんなこと一言でも言おうものならヤバいやつ指定を受けて病院行き必至である。一応それはわかっていたので、ずっと黙っていた。
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