君とぼく

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ぼくたちが出会ったのは雪の日だったね。 あの日は寒くて寒くて、猫であるぼくは毛皮のコートに身をくるんでいるのに、ちっとも温かくならなかった。 ぼくのつくった足跡が雪に覆われて少しずつ消えていくのが怖かった。景色はどんどん色を奪われて、ぼくは白くなりたくないって、斑に白くなった黒い毛並みを、震えながら見つめてた。 お腹も減って眠くて辛くて堪らないぼくの目の前に、君が現れた。 震えるぼくを、君は優しく抱きしめてくれたね。 君のぬくもりをぼくは忘れない。 君に連れられて温かいお風呂に入って、美味しいご飯を食べて、もう死んでも良いくらい幸せな気分になった。 君の足の間で眠るのはもっと幸せだった。 君と出会って、寒さが怖くなくなった。雪が好きになれた。君と出会えたのは雪のせいで電車が遅れたからだって君が言ってたから。 大好きな君をぼくは絶対に守ってみせると決めた。 君の大事なクツをかじって怒らせたことは、ちょっぴり後悔してるんだよ。いつもは優しい君が声を上げて追いかけて来て、捨てられるのかなって、怖かった。 でも、君は、ぼくを怒りながらも首すじを撫でてくれた。 やっぱり大好き。     
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