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#置いていけないよ
「…っ!!一夏ちゃん!?」
息を切らした巽くんが、こっちに向かって走ってくる。
「…巽くん?どうしたの?」
瀬那たちと一緒に花火見てたはずじゃ……?
みんな夜空に舞い上がる花火に夢中だったから。
途中で私が抜けても、てっきり気づかれないと思ったんだけどな。
「こっちが聞きたいくらいだよ…」
少し怒ったような声で言うと、ゆっくりと地面にしゃがみ込んだ。
前髪で顔が隠れて、表情が見えない。
反応に困ってると再び巽くんの口が開いた。
「急に消えて…心配させないでよ!!」
そう言う彼の目は、微かに潤んでいた。
そうか……。心配してくれたんだ。
私なんかのために息が荒くなるまで、必死に探しに来てくれたんだよね…?
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