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――気楽はまずいだろう。
美聖は、頭を抱えてしまう。
(お金はちゃんともらっているんだし、給料分はしっかり頑張りたい……けど)
だけど、どんなに頑張っても、美聖は駆け出しの占い師で、圧倒的に知識と経験が不足している感は否めない。
毎日、痛感している。
だからこそ、腑に落ちないのだ。
(何で、私が採用されたんだろう?)
やはり、気になるのはそこだった。
トウコは、私の見立てだから自信を持っていいのだと言うばかりで、正確な理由を明かしてくれない。
占い喫茶「アルカナ」は、美聖の予想通り、連日繁盛している。
トウコが作るデザート目当てで来店するお客様も多いが、学校帰りの女子生徒がふらっと立ち寄り、興味本位で占いをオーダーするケースも多い。
対面鑑定が初めての美聖にとっては、占い初心者のお客さんを鑑定することができる実践の場は、本当にありがたかった。
だが、店の立場としてはどうだろう。
どうせ雇うのなら、ベテランの占い師の方が良いはずだ。
トウコはほとんど鑑定をしないが、彼の方が美聖よりはるかに、スキルが上だ。
見た目はともかく、人付き合いも良さそうなので、人脈もあるだろう。
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