01 創造主

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「ふーん。門前払いってわけか? 俺、知っているんだぜ。降沢はここで絵のモデルを探してるって……」 「なっ!?」  驚愕したのは、美聖の方だった。 (そんなこと、知らないわよ)  一度もそんな話を聞いたことがない。  降沢在季の名前で、ググってみたことはあるが、幾つかのコンクールに過去入選経験があることと、作品数が少ないという情報のみだった。 (いつも、やる気なさそうに、フラフラしていたのは、そういうわけだったのか………………なんて)  ……いきなり、信じられるはずもない。 「あら、嫌だ。私、貴方のことテレビで見たことがあるわ」  そんな美聖のパニックぶりを知ってか、知らずか、トウコがさりげなく、男性に注目を戻してきた。 「確か……貴方、バンドのボーカルの最上もがみ……」 「えええっ!?」 「美聖ちゃん?」  そこにまた大仰に反応した美聖に、トウコの方がぎょっとした。 「嘘でしょ? トウコさん!?」  皆まで聞かなくても、その名前は知っている。 (まさか……。だって、有り得ないわ!)  顔を真っ赤にして、興奮する美聖に、観念したのか、男性は溜息を吐き捨てた。 「最上(もがみ) (はじめ)……だよ」 「うわっ! まさか本物!?」 「化物でも見たように、騒ぐなよ。ミーハー」     
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