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「学生……ですか? 僕、これでも三十は越えていますけどね?」
「えっ!? そうなんですか?」
(絶対、私より年下だと思っていたのに……)
どんな……アンチエイジングをしているのだ。
降沢は知らなかったのかと言わんばかりに、きょとんとしていた。
「あれ? 一ノ清さんは、二十代でしたっけ?」
「今年で、二十六歳です。トウコさんから聞いてなかったんですか?」
「まったく聞いてませんでしたが。へえ……。お若く見えますね……」
「誉められている気が……全然しません」
ショックは抜けないものの、それより何より、バイトを始めてから、この人と普通に会話が成立している現実が信じられなかった。
「ふーん。降沢 在季ね。なるほど。思ったより若いんだな。俺はてっきり、よぼよぼのジジイか、バアさんかって、思っていたからさ」
「一応、調べてもらえれば僕の年齢くらいは、出てきそうですけどね。とりあえず、期待に応えられずに、申し訳なかったと謝っておきましょうか。……ああ、それと一つ貴方に言っておきたい」
今日の降沢は饒舌で、一気にまくし立てた。
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