01 創造主

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「貴方の言う、幸せになれる絵なんて、そんな絵が本当に存在しているのなら、僕が描いて欲しいくらいですけどね。常識的に考えて、そんなものが存在してるはずないじゃないですか? ロックミュージシャンたる貴方がどうしてそんな世迷言を信じたのですか?」 「おいおい、随分と挑戦的だな……。画家って、みんな、こういうキャラなのか。教えてよ。お姉さん?」 「さあ……。私にもよく分からないというか」  最上が降沢を睨みつけつつ、美聖に訊ねてくる。  そんなこと、美聖が知るはずがないではないか……。 (この人が何を考えてるのか、こっちが知りたいわよ……)  心と裏腹に、曖昧な微笑を浮かべていると、降沢が美聖に目を向けた。 「何ですか 。降沢さん?」 「あっそうだ! 僕、いいことを思いついたんですけど、最上さんは、僕に絵を描いて欲しいということでしたよね?」 「あんた、俺の話聞いていたのか?」 「……つまり、そういうことなのだから」  降沢は一人で総括すると、人差し指を美聖に向けた。 「だったら、彼女に占いをしてもらいましょう。その結果次第で、僕も考えるってことでどうですか?」 「…………はっ?」  よろけそうになった美聖の身体を、トウコが支えた。  どうして、ここで美聖の名前を出してくるのか……。  彼は明らかに降沢の「絵」が目的で、占いを求めて来たわけではないのだ。  興味のないものは徹底して信じない性格が、表情に滲み出ている。     
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